2020年7月8日(水)14:30〜15:00県庁の職員の方3名と、有志グループ2名がお会いし、あちらからの経緯の説明と、こちらからの質問へのご回答をいただきました。
挨拶と個人の氏名などをのぞき、内容は編集することなく全て文字におこしてあります。また、英訳縮小版はそのままだと難しいため、こちらで回答をまとめて補足を付け足しております。合わせてお読み下さい。
県庁の回答(英訳縮小版)
*今回県庁からの回答をうけ、そのまま英訳をするには説明が不足していると考えましたので、英訳に関しては以下のようにまとめてあります。
私たちからの質問「ダニ・カラヴァン氏へお知らせしているのか?」という質問への宮城県からの回答は次のようになっています。
「 ダニ・カラヴァン氏ご本人からではなく、人づてで美術館の移転の話があるということ、『マアヤン』の取り扱いについて心配しているという連絡が県の美術館にあり、こちらからは【施設のリニューアルによる現地改修と、それから他の施設との集約複合による移転新設について比較検討を行うこととしていて、現時点では具体的事項は決定されていない状況である。】とお伝えしたと聞いている。
(今回主導している震災復興企画部では)どなたにということなど直接は詳しく聞いていないのでわからない。美術館でやりとりをしていると伺っている。こちらではご自身の作品が今後どうなるかということを心配されているのだろうというふうに理解している。
2020年10月に、現地リニューアルと移転新設とのメリットデメリットを出した際に、ダニ・カラヴァン氏と話合いを持つか持たないかというのは我々としては決めていない。検討すべき要素のひとつには入ってくるとは思うが、当初の契約や、有志グループの方々から訴訟の可能性のお話があったが、先例等もふくめて、どういった対応をすべきかを今後検討して参りたい。たぶんいろんな項目について検討していくことになると思うので、美術館の他の屋外彫刻の扱いというものも入ってくるかと思う。検討にあたっては、美術館の担当部署、美術館の方々と充分話をしながら進めていきたいと思っている。メリットデメリットというのは、コスト、金銭的なものだけではないので、文化的価値なども要素になるが、今後、検討していく。」
これまでの経緯をわからない方のために補足をしておきます。
今回私たちからの質問にご回答いただいたのは美術館の直接的な主管部署の方ではなく、県有施設の再編という大きな枠を担当する震災復興企画部ですので、回答中にあるようにダニ・カラヴァン氏とのやりとりは直接知らないということになります。
そもそも、今回のことは、県民会館の移転整備計画に端を発する県有施設の再編についての検討過程で急浮上したものであり、そのため話合いも「県有施設再編等の在り方検討懇話会」という有識者で構成する任意の会議で行われ、そこには美術館関係者は入っておりません。
会議の議事録からは、老朽化により建てかえが必要になった現在の県民会館を移転整備するにあたり、国政策による施設集約化における財政上の優遇制度を利用するために、他の施設との合築・複合化検討する過程で、初めは県の武道館が良いのではないかという意見などが出されていました。しかし、移転先とする用地の面積が広すぎることなどの不都合があって、一転、美術館がちょうど良いのではないかという話が浮上しました。県議会の質問によればその話が出た時点で、震災復興企画部から、美術館の担当部署に通達するという形で現在に至っていますので、私たちからの質問は美術館に関してですが、ご回答いただく担当部署が違っているということになりました。
県庁の回答(全文)
*(県1、2・・・県職員 )
(県1)
あの私たちですね、震災復興企画部というところにおりまして、いわゆる企画部門でございまして、いわゆるその宮城県の中長期的な計画を立ててみたり、それから統計的なものを分析したり、地域交通とか情報政策とかそういったものをもっている部でございます。
この度、県有施設の再編について、やはりあの中長期的に県の施設はどうあるべきかっていうのをやはり企画部としてですね、まとめて、あり方を今回(聞き取り不明)をしたとなっております。
ただ私ども提案させて頂くときに県民の皆様からですね、たくさんのご要望頂戴いたしましたし、今回皆様からもですねアンケートの結果と、それをパブリックコメントの方にもお寄せ頂いたということがあって、われわれもここはひとつ県民の皆様のご意見をちゃんと聞いて、それで、メリットデメリットをきちんと整理した上でもう一度判断しようということになって、現在に至ってところです。
本来であればですね、皆様と要望もたくさんいただいていますので、要望をいただいた皆様と県民の皆様広くですね、一同にこう介した形でのいろんな意見交換できればなと年度当初思っていたのですが、まあこのコロナが大変なことになっていて、それが技術的にかなわないということで、それならばということで、要望をいただいた皆様のところにですね、一軒一軒お伺いをして、お話を聞くということを今設けさせて頂いてます。
今日はですね、お忙しい所お邪魔だったとは思うんですけれども、ご意見をですね、聞かせていただきたいと思って参りました。
今日冒頭ですね、私どもの方から、こういった県有施設のあり方をこういう背景で出させてもらっていますということと、今年度のスケジュールをですね、こんな感じで進めて行きたいんですというあたりを、ごく短くですね、説明させていただいた後に、ご質問を頂戴していたものですから、それについてもお答えしながら、ということで進めさせていただきたいと思います。
今日はよろしくお願いいたします。
(県2)
私の方からですね、県有施設再編の検討に至りました背景と、それから今後の進め方について、簡単に説明させていただきます。
はじめに今回の県有施設等の再編のねらいでございます。お配りした資料の左上にも記載してございますけれども、将来的に予想される厳しい財政状況と文化芸術振興の両立を目指して参りたいということで進めております。資料の中程にですね、グラフが2つございます。
本県の人口ですね、今後確実に減少していくということが見込まれております。一方でですね、県の方で所有している、持っているですね公共施設につきましてはですね、老朽化が進んでいるということで、人口が少なくなることでですね税収の縮小が見込まれる一方で、公共施設の更新などにですね、継続して多額の費用が見込まれるというような状況がございます。こうした状況をですねふまえまして、将来的に予想される厳しい財政状況においても、文化芸術振興をはじめとするに県民サービス維持向上を目指していうことが、まあそもそもの県有施設再編の発端であるということになってございます。
今年度の進め方なんですけれども、資料の下の方にですね、令和2年度の取り組みということで緑色の部分で書いてございます。今年の3月に決定した基本方針のというものの中ではですね、仙台医療センター跡地での施設の集約複合化の検討を進めるにあたってですね、美術館について現在地で改修した場合と、移転新築した場合とのメリットデメリットを整理するということにしております。その内容についてですね、県民の皆様に説明する機会も設けさせていただきまして、ご意見を伺った上でですね、施設整備の方向性というものをですね、判断してまいりたいというふうに考えてございます。そのためですね、冒頭申し上げましたけれども、まずは今回の県有施設等の再編に関してですね、要望等いただきました団体の皆様と個別に意見交換をさせていただく機会を設けて、ご意見をお伺いしていくというところでございます。
またですね、美術館のあり方に造詣の深いですね、美術あるいは建築関係のですね、有識者の方々からもご意見をお聞きしながらですね、メリットデメリットの整理というものを進めて参りたいというふうに考えてございます。
合わせましてですね、移転集約する場合にですね、あらたに整備させる施設の施設像というものもですね、お示しする必要がございますことから、新施設の基本構想の検討というもの平行して進めて参りたいと考えてございます。
こうした作業をですね経まして、今年の秋以降目途にですね、メリットデメリットの検討結果でございますとか、県としての施設整備の方向性への案というものをですね、お示ししながらですね、広く県民の皆様に説明させていただく機会を設けて参りたいというふうに考えてございます。
関係する団体の方々、あるいは県民の皆様にですね、一定のご理解をいただきながらですね、基本構想策定して参りたいと考えてございます。
そういったことでございますので、よろしくお願いいたします。
それからですね、あらかじめ質問ということで、いただいておりましたので、そちらについてのですね、回答と申しますか、現在の状況についてお話をさせていただきます。ダニ・カラヴァン氏との方とですね、連絡とられているかということだったんですけれども、ダニ・カラヴァンさんご本人からではなくてですね、人づてという形にはなるんですけれども、美術館の移転の話があると言うこと、「マアヤン」の取り扱いについてですね、心配しているというようなですね連絡が県の美術館の方にですね、あったというふうに聞いてございます。
(有志グループ)向こうからあったんですか?
(県2)
はい、人づてにですね、連絡があったということでですね聞いております。連絡のあった方にですね対しましては、現在県有施設等の再編についてですね、検討を行っておりまして、美術館についてはですね、施設のリニューアルによる現地改修と、それから他の施設とのですね集約複合化による移転新築について、比較検討を行うこととしていると、したがいまして、現時点では具体的な事項は決定されていない状況ですということをお伝えしているというふうに聞いてございます。
私の方からは以上となります。
(県1)おそらくそのお伝えした方から、またこう同じルートで、事務所の方に伝わっていると。
(県2)そうですね。
(県1)そこまでは私たちわからないんですけれども、
(有志グループ)
日本にエージェントがいるらしいという話を聞いたんですけれど、そういうのも具体的には誰っていうとかはないんですか?どこから連絡が来たとか。
(県2)ちょっと詳しくまではですね、我々の方では聞いていないんですけれども。
(有志グループ)それは美術館でやりとりしている?
(県2)美術館の方に連絡がきたというふうにですね、聞いてございます。
(有志グループ)
それは美術館内部の、例えば学芸員の人とかが、それはもうダニ・カラヴァンさん、直接じゃないけれども代理人を通してやりとりは行っているというというふうな・・・
(県2)
そうですね、連絡はいただいていて、それに対して今申し上げたようなご回答というかですね、連絡を差しあげていると聞いてます。
(有志グループ)じゃあ美術館は、内部の人はわかっている、ていうことですね?
(県2)
まあ、わかっているとうか、そうですね、連絡はですね、ちょっといただいたと聞いてございます。
(有志グループ)
もう1回、代理人を通して、カラヴァンさん本人が、心配しているっていうふうな話だったっていうことですよね?
(県2)あの、たぶんそういうことなのかなというふうに思うんですけれども
(有志グループ)ご高齢で・・・
(県2)
まあご本人なのかですね、ご家族の方なのかということあたりもあろうかとは思うんですけれども、いずれそういう近しい方からということは理解しております。
(有志グループ)
その場合、まあ推測でしかないのですけれど、心配されているっていうことは、心配しているっていうこと・・・、壊されるかもしれないっていうことで、心配しているということですよね?
(県2)
たぶんその・・・、どうなるのかと、ご自身の作品がですね、まあ今後どうなるのか、ということを心配されているんだろうというふうに、理解しています。
(有志グループ)
訴訟とかになる可能性っていうのもあるのかなっていうふうに私は思うんですけれども、今まで著作権の方ですら、訴訟が起きているので、なんていうか、もしもその売却して何らかの手が加えられるっていう著作権じゃなく、まあ、壊されるってなったときに、訴訟とかって起きるんじゃないのかなっていうふうに思うんですけど、メリットデメリットの中にはそれは含めて、やっぱりその段階では、含めての計算となるんでしょうか?
(県2)
まあ今回佐立さまの方からこうしたお話もいただいてますので、そういった部分もですね、まあ検討要素のひとつとしてですね、進める必要があるのかなと考えてございます。
(有志グループ)契約の仕方とかとかもあるんでしょうけれども。
(県2) そういった部分も確認しながらですね、やる必要があるのかなというふうに思います。
(有志グループ)
現時点では、答えは様子をみているっていうお答えですけれど、メリットデメリットを提示する時点、10月ですか、10月までにはカラヴァンさん、本人じゃなくても代理人含めた話合いももたれるっていうことで大丈夫でしょうか?結局本人が訴える気なければ、デメリットにはならないだろうなって思うんですけども、訴えますよとなったら、その金銭的な、まあ購入資金もありますし、いくらで購入して、それを壊して、さらにその訴訟になったってなると、結構莫大なお金なんじゃないかなと思うんですけれども。また勝てば違うんでしょうけども、そうなると時間もかかるし。
まあ10月にそのカラヴァンさんも含めた話合いはもたれるっていうことですよね?
(県2)
今の段階でですね、まだ、そういった話合いをですね、持つか持たないかっていうのはですね、我々として、決めておりません。
(有志グループ)デメリットには含まれていないという?
(県2)
当然検討すべき要素のひとつにはですね、入ってくるとは思うのですけれど、どのようにですね、検討するのかというところについてはですね、先ほどお話しがあったように、当初の契約がですね、どういった状態になっているかとか、今訴訟というお話がありましたけれどもその辺もですね、いろいろ先例等もあると思いますので、そういったものも含めてですね、我々としてですね、どういった対応をですねすべきかというあたりをですね、今後検討して参りたいと思います。
(有志グループ)
それは検討中ということで。デメリットの中に必ずしも入ってくるわけではないということですか?
(県2)
いろいろなメリットデメリットをですね、たぶんいろんな項目についてですね、検討していくことになると思うので、その中のあちらの、彫刻の扱いというものもですね、
(有志グループ)あ、他のもですね。
(県2)そうですね、入ってくるかと思うのですね。
(有志グループ)
専門家じゃないでしょうから(今)そんなことを言われても困るだろうなというのを重々承知の上で・・・そもそもが、たぶん、部署が違うんだろうなというふうに思うので・・・
(県2)
まあ検討にあたってはですね、美術館のですね、担当の部署であったりとかですね、美術館の方々とかですね、そういった方々とも充分話しをしながらですね、進めていきたいなというふうに思っています。
(有志グループ)
今回、実はそういうふうに内部で話をされているというもの今聞いて、そうなんだと思ったけれど、全然美術館の人とかのお話が聞けないので、アンケートをそもそもしたのが、美術の関係者の人の意見が全く聞けなくって、びっくりしたものですから。美術の人の意見が県民の人の耳に入ると、もうちょっとこう納得がいくのかなというふうに思います。大変だと思いますが、部署が・・・たまたま美術館がそれの中に上がってきたのでしょうから・・・。
もう一つだけダニ・カラヴァンさんのことについて、ちょっとお伺いしたい・・これは私はわからないんですけれど、高松宮殿下記念世界文化賞というのをうけられていて、日本で一番権威がある賞だというふうに伺ったんですけれど、彫刻の部門で今まで受けられた方が31人しかいらっしゃらない中の一人なんですけれど、あまりそういうのって、考慮、その、なんでしょう、その、作品を本当に移転できれば問題はないんでしょうけれど、そのHPの中に、動かしたら死んでしまうとご本人がおっしゃっているので、そういう日本で決めてる賞みたいなのは、あまり考慮されないものなのかなと、財産というかなんというか。かなり貴重だと思うんですけれども。むしろ胸をはって、その作家のものがありますよ、っていうふうに、言えるぐらいのものなんだけど、メリットデメリットの前に、それは、そこをもしも壊してしまったってなったら、その賞を設置している人とかからしても、ちょっとびっくりなんではないだろうかとは思うんですけれども。でもわかんないです。設置している人達の気持ちもわからないので。ただ賞ってなんのためにあるのかなあっていうふうに、不思議には思っています。
(県2)
メリットデメリットっていうのは、コスト、金銭的なものだけではなくてですね、文化的な価値でありますとかそういったものについてもですね、検討していくことになりますので、まあ、今お話があったようなですね、賞をとられている方がですね、つくられたものというのもですね、含めてですね、まあ今後検討して参りたいと思います。
(有志グループ)
でもそうですよね、そうしか言いようがないですよね・・・わかります。でもその辺も、でも考慮していただけたら、ていうか、どう考慮したかがやっぱり県民に見えると、何と計りにかけたのかというのは見えやすいと、納得するのかなと思います。
やっぱり私たちはアンケートをしただけっていう立場なので、みなさんびっくりしていて、それは情報不足によるものがすごく大きい、考える材料が少ないっていうのがあるんだなっていうのがあるんだな、って思って、賛成の方にも反対の方にも、経緯がわかるとありがたいなと・・・。でもすごくいろいろ忙しいとは思いますが。
(県2)ありがとうございます。そのような形でですね、進めたいというふうに思います。
(有志グループ)わかりました。それ10月には見える形にでてくるっていうことですか?
(県2)
ちょっと時期的にはですね、10月からということに下(資料)にあるので、10月以降年内には出していけるようにですね、作業を進めていきたいなというふうに考えております。ちょっと10月なるか、11月なるか、その辺は少し作業の状況によって時期は変わるかもしれません。
(有志グループ)
例えばなんですけど、やっぱり冬になってまたコロナが出るんじゃないかというふうに想定しながら生活しているんですけれど、県民向け説明会っていうので、コロナがおさまってからとか、そういうのっていうのはやっぱり仕事的に難しいんでしょうか?
(県2)
状況をですね、見ながらですね、そういった開催の仕方でありますとか、そういったものについてはですね考えて行きたいと思っているんですけれども。そうですね、コロナウィスルの影響そういったものも、どういうふうになっているのかまあ見ながらですね、こういった開催方法とかも考えていく必要を考えております。
(県2)また説明会等も含めましてですね、また機会あろうかと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
(有志グループ)
今日は答えが保留みたいな感じだったので、具体的に動き出して、お話されたのとかはお伺いしたいなとは思います。宮城県美術館の話じゃなくっても、美術家がどういうふうに扱われるかのかとか、作品がどういうふうに扱われるかっていうのは、特に今表現活動している人達は大変な思いをしているので、それが大切に扱われているんだよっていうことがわかると、また、期待がもてるというか、希望になるので、やりとりが、わかったら教えていただけると嬉しいです。
(有志グループ)
(この作業工程は)一般的な長さなんでしょうか?早く感じるのは・・・普通?
(県2)
どのぐらいの時間をかけるのかといいのかなっていうのはいろんな考え方があると思うんですけれども、我々とするとですね、必要な作業というかですね、そういったものはやりながらですね、この期間でというふうに考えてございます。それと、あと、そうですね、見る方によってですね、長いと思われる方も、短いと思われる方もいるかもしれないと思うのですけれども、ちょっと一般的っていうのも、なんていうんでしょう、たくさん事例があったりするものでもないものですから、どのぐらいが一般的かと言われるとちょっと答えにくいところはあるんですけれども。必要な検討を盛り込んでですね、これぐらいの期間というふうにですね、一応設定させていただいております。
(以上)